Tokyo HideOut

アラフォー外資系金融勤務のゲイHideが描く日常

Tinder - 過去への感傷(ラテン男)

出会い系アプリのTinderは、自分の過去へと誘う感傷的な旅だ。過去の男体験をフラッシュバックさせるキラーアプリ山川出版社の世界史便覧よりも詳細な絵図で僕らの過去をえぐり目の前に晒す殺人アプリとも言えよう。


別れ際に別れたくなくて、かなり醜い言い争いをした男、セックスをするために金を貢いだ男、Tシャツから漂う体臭が強烈すぎる男、、そんな過去を全く無かったことのように画面から笑いかける彼等のプロファイル。アラフォーになった今でも愚かな自分はまた同じ業(カルマ)を犯そうとしているのか。


「大学講師をしています。友達から仲良くなれる関係を探しています。政治や経済の話ができるといい」


プロファイルにそう書かれている35歳の男は褐色の肌をしたラテン系のイケメンだった。そして僕が最初に恋に堕ちたアレハンドロだった。


彼の写真をスワイプしていると、屈託無く笑い白い歯を眩しい程にアピールしている写真が目に入った。こうやって僕に見られているとも知らずに、僕のiPhoneの画面の向こうで、彼はラテンスマイル全開でまぶしく僕に笑いかけてくる。「ん、てかまだ僕のこと好きなん?やっぱそうやんな、お互い付き合うの初めてやったしやっぱ僕がええんやろー?」と心の中でツッコミつつ右スワイプをする、勿論、マッチングしない。


2009年、11年前の東京で僕は一人のラティーノ、アレハンドロに出会った。当時はFridaeというアプリ、(おそらく当時はPC版のウェブサイト)がそれなりに盛り上がっていて、アプリの趣旨は要するにアジア人好きなゲイが集まるアプリ。その中で身体の画像だけを載せている男性からコンタクトが来て、僕の外見が好みだという。そのうち会いたいねと言うことになり、暫くして渋谷で会う事に。それが、自分の初めてのゲイ出会い体験となる。


2009年の8月下旬、空も高くなり始めた夏の終わり。ハチ公前で待ち合わせしようという事になり相手を探すが、誰を探して良いか分からない。というか相手の顔画像もらってないわ!とその時気付いた。しばらく歩き回っていると誰かが僕の肩を叩いた。振り返るとシャープな顔立ちに白い歯、そしてカーリーヘアー。スキニージーンズに黒いTシャツを着ている筋肉質でイケメンな男性がそこに居た。


Hey, are you Hide, right?

Yeah, are you “Alejandro”? Yes...


お互い簡単な挨拶を交わすと、どこかお茶でも行こうという事に。僕は普段英語を話すこともない中で、彼の早口の英語を聞き取るのは難しい。数年後にわかるが、彼の英語はかなりのスペイン語なまりだった。


宮益坂のカフェで彼のバックグランドを聞くと、東工大留学生、建築学専攻、カリブ海のどこかにある島出身。そしてバイセクシャル、来日するまで彼女がいた、とのこと。彼が抱えている本に目をやると、うちの本棚にもあるAlex Kerrの『Lost Japan』。「それ今僕も読んでるよ、京都でルームシェアしてたシェアメイトがAlexと知り合いで、四国の里山プロジェクトによく行ってたんだよね」そこからお互い読んでいる本の話で数時間話して意気投合した僕らは、晩ご飯も一緒に食べる事に。


気付くと時間は夜の8時くらいになっていて、初めましてなのに5時間くらい一緒に過ごしていた。当時はお互い性欲盛んな20代、このまま彼を帰したくないという思いが強くなって、「うちに来る?」とエッチをするために誘ってみる事に。彼は澄ました顔で、いいよ、と相槌を打ち、一緒に山手線に乗って僕のマンションに向かった。


彼の少し肉厚な唇が優しく触れる、微かにミンティアの香りがする。舌が優しく僕の口内に入ってくる。初めてのキスがラティーノというのはとても特異な体験だなと思っていると、彼の手が僕のジーンズを脱がせ始める。お互い裸になると、目の前にはラティーノのDNAを嫌というほど見せつける彼の素晴らしい裸体がそこにあった。そして、股間からぶら下がっている陰茎は神々しく褐色で美しい、そして長くでかい… こっ、これはアナル今日無理、とヘタレな僕は、早速の降伏宣言を出会って初日でしてしまったのであった。【続く】

 

【本日の一軒】

中華料理 リージャン・麗江 月島

外資系資産運用会社バリキャリ一直線のTom嬢は非常に自己向上心に溢れた優秀なエネルギッシュな女性だと思う。クロスフィット、ヨガ、格闘技と、きっとスーパーサイヤ人になろうとしているとしか思えない努力家だ。そんな彼女が紹介してくれた中央区の中華屋。麻布十番のピャオシャンもいいけど、そこまで豪華である必要はないが丁寧な中華屋は無いものか。チャーハン、点心、海鮮炒め、餃子、こういう我々日本人庶民にとってベーシックな中華料理をちょっとグレード高く料理して出してくれる店、それがリージャンだ。お店のフレンドリーな店員さんと丁寧に作られた中華。アラフォーになるともうそれだけで幸せ。超豪華な中華屋も良いけど、こういうお店が飽きもこないし、もっと近くにこういうお店あれば良いなぁと思わされる。中央区いいなぁー…

 

麗江

03-3531-6631
東京都中央区佃1-6-7 大栄マンション 1F
https://tabelog.com/tokyo/A1313/A131302/13007574/