Tokyo HideOut

アラフォー外資系金融勤務のゲイHideが描く日常

冷静と強欲の間

証券会社で勤務し始めて5年程度になる。ニートへの憧れを常に保ちつつ、日々朝07:00くらいから夜中まで働く日々は、慣れるまで正直時間がかかった。とは言え、今でも直ぐに辞めてニートになりたいという夢を抱き続けている。周囲のエリート人間に疲れ1社目を直ぐにドロップアウトした後、比較的緩く働ける今の会社へと転職した。周囲の同僚の8割が非日本人という面白い職場で、いつの間にか僕がゲイであることも周囲に指摘され公開され、日本支社長もそれを知っているというオープンな職場である事は、自分にとっては非常に幸運な事である。

 

証券会社は大体毎朝07:30から朝会が開かれるが、そこで目にするトレーダーの傲慢さに辟易する毎日だ。ウォール街の伝説トレーダーと呼ばれ、リタイアメントまでの間時間を持て余し、うちの会社に去年入社したRobin(仮名)は、朝会のテーブルで頬張るマフィンの食べ方と、それを流し込むコーヒーの飲み方が、どう見ても悪魔にしか見えない。白人至上主義の金融世界で、彼等の奴隷としてのポジションから這い上がるには、レポートを書いて投資家から認められるしかない。

 

強欲を詰め込んで大きく出た彼の腹は、踏ん反り返って座るハーマンミラーの椅子の上で大きく隆起し、悪魔のような彼の顔は、アナリストのプレゼンに皮肉を交えてツッコミを入れる度に大きくシワを作る。Robinを含めて今の会社にいるマネジメントは既に50代。過去のバブルも経験し、タフなメンタルと狡猾な政治力で億単位の給料を稼ぎ出して来た。しかしながら金融世界がテクノロジーにより一部置き換えられつつある中、彼等のような生活が今後5年間も継続するかは疑問である。特にRobinのようなトレーディング業務は既に一部が人工知能をベースにしたアルゴリズムトレーディングに代替されており、人間が介する割合も減少し始めている。彼の中学生の娘を先日オフィスで見かけたが、彼女が大学に行く頃、Robinの仕事はまだあるだろうか。

 

彼等の強欲さに辟易しながらも、一応好きではある会社分析をやりながら、関係会社との利害も考えつつ業務をやるのは正直疲れる。他の同僚はというと毎月給料のキャッシュインでいろんな疑問をやり過ごしながら過ごしている(と思う)。子供がどこのインターナショナルスクールに入っただとか、次の休暇はハワイでどこのホテルに泊まるだとか、決まり切った話題の中で、今日もエクセルの数字を前に顧客に突っ込まれながら、会社を勧める。6年前のように地震が起これば、何かしらの行動を起こせるようになるだろうか。そんな疑問をスタバのコーヒーで流し込み、今日もエクセルを叩く。

 

(本日の一件)
たまさか 西麻布
落ち着いた個室で戴く季節の食材を使った懐石料理が新鮮に感じる。和食は店の雰囲気や値段で敷居は高いと思っていたが、ここはお店の方もフレンドリーで僕のような新参者にもやさしいお店。

 

たまさか 西麻布
03-5485-6690
東京都港区西麻布2-21-11
https://tabelog.com/tokyo/A1306/A130602/13004801/