Tokyo HideOut

アラフォー外資系金融勤務のゲイHideが描く日常

ゲイ恋愛就職活動 - 補欠候補

就職活動にお決まりの、「今回は誠に残念ではございますが、採用/選考を見送らせて頂く事となりました。貴殿の今後のご活躍をお祈りしております」という不採用、選考落ちの所謂お祈りメール。完璧に行ったと思ったはずの面接の後、数日してからこのようなお祈りメールを戴くと、何が原因だったのだろうか?原因を知って次に役立てたい、と思うのが自然だと思う。しかしこんなお祈りメールを何通も立て続きに受け取ると、建設的な思考は停止し、ひたすら自己否定されている気分になり、憂鬱になってくるのだ。

 

大学7年目の夏に僕はろくに就職先も決まらず、卒論に関する本を古本屋で悠長に読んでは、近くの喫茶店に入り浸る生活を送っていた。何とか秋採用で内定をもらったものの、もしあの会社に応募をしていなければ今の自分はなかっただろう。諦めずに続けていてよかったー!と思うが、このようなプロセスは残念ながら現実の恋愛にはあてはまらない。

 

そもそも受験する会社(対象となる男)の母数が実際の就職活動と比較すると遥かに少ない。どう言うわけか日本人以外の男性だけを対象と見ていた30代前半、GrinderやJack'dでそれらしき人を見つけては、手当たり次第に連絡を送っていた。拒否されるかもしれない、などという思考は全く時間の無駄でしか無い。就活のエントリーシートのように、取り敢えず気になればメールを送って、返事が来なければ諦めれば良い。その繰り返しで、数年のうちにステディな彼氏が見つかるだろう、そう思っていた。

 

しかし実際の所は、彼氏どころか、人に会うことすら難しい。以前のエントリーで既述の通り、返信が来る確率はおよそ8-10%程度。最近はメッセージを送るのが面倒になり、出会い系アプリも、取り敢えず開いて周囲のゲイを確認するという、安否確認サービスに成り下がってしまっている。日々追うごとに自分のプロファイルのpage viewは下がっていく。

 

そんな困難な恋愛/友情活動の中で、過去数年を振り返ると、最終面接らしき所まで行った男性も数名居ることは居る。膨よかな手が握手すると気持ち良いカナダ人のJ、二人で毎回違うご飯屋に行っては、ワインを楽しみ、話をするのが楽しくて仕方が無かったフランス人のM。二人とも良い人で、一緒に過ごす時間が楽しかった。彼等とは余計な事を考えずにその場を楽しみ、そんな雰囲気になれば、路上でキスをしたり手を繋いだりしていた。

 

しかし、最終選考には両者とも誠に残念ながら落選。本命だった誰それを本国から呼び寄せただの、実は遠距離恋愛中で彼氏が居るだの、僕は結局2番手以下の存在でしかなかった。初めはそれでも何も無いよりはマシだと思って、楽しい時間を過ごしていた。しかし人間は愛を求め承認されたい生き物である。ここが一番重要。彼等との関係をフェアだとどうしても納得できなかった僕は、自分から彼等と会う事を止めた。自分は彼等の補欠候補としてリストされていたに過ぎなかったのでは無いか。

 

何故駄目だったのか?何がいけなかったのか?と自問自答をし、世に溢れた恋愛本を読むが、よく分からない (と当時は思っていた。事実を先輩方に話せば、いや、身の丈に合わない奴を攻めすぎ、胸筋ねーじゃん、と突っ込まれそうだ)。そもそも、出産という家族形成の縛りが無い中で、同性愛は何を生み出すと言うのだろう。民度が低い発言だと思われるだろうが、不採用通知を突きつけられる中で、段々と希望が薄らいでいく自分がいた。

 

現実の就職活動では、ある程度のマニュアルや受け答えの練習は必要だが、採用不採用については、結局結果論として合っていないと言う漠然とした言葉でしか説明できない。あれだけ憧れていた外資系金融も嫌な人もたくさんいて、仕事は激務。夜中までエクセル叩いてという、永遠に終わらないマラソンのような仕事だ。採用される人も、とにかくタフで打たれ強い人を取るのが正解。その観点からすると、自分の不採用通知も理解できる。

 

恋人だって同じなのでは無いか。その理由を深く考えた所で、無理に作った不自然なキャラが生まれるだけで、長く続くはずの結婚やパートナーシップという関係を続けていける筈はない。そう言う意味で、今の自分には恋愛も恋人も合っていない、相応しくない存在なのだと理解をしている。

 

ある程度の努力で市場平均には近づけようとしてはいるが、正直もう疲れてしまった。オーストラリアのゲイドラマPlease Like MeでJoshが恋人のArnoldに言っていた事で、「相思相愛の恋人に出逢える確率は凄く小さい、二人が出会っていることは確率論で言えば奇跡みたいなものだ」(実際には、他の男性に出会ってもそんな簡単に恋に落ちる事はないと言っているが、自分の中の解釈ではどちらも同じか)

 


Please like me 3x09

 

仕事の同僚も友人もゲイ友もそういう奇跡のような確率論の中で偶然に出会っては、仲良くなっていく。そう考えると、人との出会いもそう悲観的にならずに済むのでは無いだろうか。

 

(本日の一軒)
桜丘町 Cujorl ビストロ


渋谷は桜丘町に在るビストロ。洗練されたフレンチのコースと種類豊富なワインのマッチングが楽しいお店。コースの食材もワインも定期的に代わり、毎回訪れるのが楽しみになる。お店の雰囲気が非常に良くて、リピーターであろうお客さんで週末は直ぐに埋まってしまう。狭い店内ながらも、ゲイ率高く、友人に出くわした事も度々…

 

CUJORL
03-5784-5818
東京都渋谷区桜丘町22-8 縣ビル 1F
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13059677/