Tokyo HideOut

アラフォー外資系金融勤務のゲイHideが描く日常

セレブゲイ - Part 1

僕のゲイ友の一人であるSさんはニューヨーク在住だ。日本国籍で名前も日本人の姓名。4年程前の4月下旬、Sさんが自身の運転免許更新で帰京していた際、出会い系アプリのJack'dで偶然知り合った。写真からも感じていたが、名前と外見が全く一致しない。顔や身体的な特徴は、どう見ても白人の遺伝子によるもの。実の所、彼はイギリス人と日本人のハーフ。彫りが深くて高い鼻と東洋的な大きな黒い眼が印象深い。ちょうど次の仕事を始める7月まで時間があったので、僕は6月にSさんが住んでいるニューヨークのお家に遊びに行くことにした。

 

実はその時の2012年ニューヨーク訪問が僕にとって初めてのニューヨーク。ブルックリン大橋をタクシーで渡り、見えてきたマンハッタン島からは物凄いエネルギーを感じて身震いをした事を覚えている。教えて頂いた住所に従ってタクシーで行くと、そこにはハイラインやHotel Standardなどが有る、当時最先端と言われていたおしゃれエリアだった。その一角にSさんの住むはずのフラットが。エントランスのインターフォン鳴らすと、「ちょっと待ってて、すぐ降りるから」という明るい日本語が聞こえてきた。

 

降りて来たのは、背の高い短パンとタンクトップ姿のSさん。お互い軽いハグをすると、ドアマンに軽い紹介をされて挨拶を交わす。そしてリフトに乗って着いた先は、最上階13階のペントハウス。ドアを開けた先には、シンプルで無駄のない白を基調とした空間が広がっている。その先に見える全面ガラス張りのリビングからはハドソン川左岸が見渡せる。

 

「これからご飯行くけど、別の友達も来るから」「その人もアメリカ人なの?」「そう、東京で知り合ったアメリカ人なんだけど、偶然ニューヨークに出張で来てるんだって、だからみんなで晩御飯行こうと誘ったんだ、良いよね?」

 

Sさんのフラットに姿を現したのは、優しそうな雰囲気のアメリカ人。そして、そのアメリカ人B氏は某有名化粧品会社の日本支社社長…「ファーストクラスだったから、FAのおばちゃんから、御社の化粧品いつも使ってますってずっと言われたわ!」とB氏は非常に流暢な日本語で話し出した。東京港区在住で、日本には10年以上居住しているらしい。

 

彼のフラットから歩いて10分程度、ハイラインを歩いて辿り着いたのは、そのエリアで最もhipなホテル、The Standardだった。ディナーを終えて、ホテルのルーフトップバーに行くことに。Sさんのまた別の友人達もそこに合流し、合計で6人のゲイ会に。6月のニューヨークは日が長くカラッとした天気で、ルーフトップバーは非常に混んでいて活気があった。

 

他の3人は皆ニューヨーク在住のアメリカ人で、役員クラスの金融系、コンサル、薬品と皆様社会的地位の高い年上の方々… 彼等の話題は、休暇で行った旅行の話、泊まったホテルの内容、レストランのクオリティ、そして現地で寝た男達の話…当時30を過ぎたばかりの東京で小市民をやっていた僕にとって彼等の話ははスケールが大きく全くの別世界。もちろん使うお金の単位も1桁違う。気さくで話し易い雰囲気の彼等と、僕はすぐに打ち解けることができ、お互いの事を紹介し合った。気付けば夜の10時過ぎ、開放的な雰囲気の元で、僕はニューヨークのセレブゲイ達との会話に夢中になっていた。