Tokyo HideOut

アラフォー外資系金融勤務のゲイHideが描く日常

『Gaycation』- 存在承認

エレン・ペイジジュリアン・ムーア出演の映画FREEHELD。アメリカのレズビアンカップルを描いた映画である。エレン・ペイジは、高校生の妊娠劇『ジュノ』でも有名だが、彼女が本当のレズビアンとはご存知だっただろうか。Netflixのトークバラエティに出演している際にサラッとその事実が流れ、驚いた記憶がある。


その流れで最近観ているのが、そのエレンが出演する世界のゲイシーンをテーマにしたドキュメンタリー番組『Gaycation』。今回添付のリンクでは日本が舞台、東京に住むシングルマザーの元で育った日本人男子が、母親に自分がゲイだとカミングアウトをするというシーン。エレンとその友人の前で、彼は母親に、彼は自分がゲイであるとカミングアウトするのだが、母親は息子の告白に居た堪れず、思わず外に出て行ってしまう…

https://youtu.be/xKUlte3lDaY


人間は複雑なようで、実はすごくシンプルな生き物なようだ。乳幼児の頃の母親との関係が、成人後の精神状態にも影響し続けると言うが、助けを求めようとして母親が抱っこをしてくれる、ここに居るよ、と子供に助けを差し伸べ、子供の存在を承認する。存在を認めているよ、という動作はシンプルなようでいて、非常に大きな安心感と安定を人にもたらすもので有るという。幼少期、青年期をその承認を得がたい環境で過ごした子供は、愛を他者に求める過程で何らかの障害を持つようになると言うのだ。


高校生くらいで自分が男しか愛せないかもしれない、と気付いた子供が、両親に存在を否定される不安を抱えながら生きていけば、彼等の距離が遠くなって行くのは自然な事だ。社会も未だ制度的に同性婚を認識するに至って居ない中で、ゲイにとっての問題とは、「存在を認めているよ、構成員として居て良いんだよ」という承認が欠落している事だろう。そこから引き起こされる漠とした不安が、精神的な不安定さやコミュニケーションでの未熟さの原因になる事は、有り得ない推測ではないだろう。カミングアウトをして、結果として家族関係が良好で続けば良いのだが、そこで拒絶され最後の砦を喪った子供は、何を頼りに生きれば良いのだろうか。


現状周囲の友人達を見てみると、ゲイコミュニティの中や、一部のノンケ友人間での相互承認により補填しながら生きているというのが多数派なようだ。僕は職場でカムアウトしているけれども、日本の会社だとそうも行かないだろう。『Gaycation』に出てきた男子は、初めて母親に拒絶されてどんなにつらい想いだっただろうか。同性婚なんて別ええねんと思っていたが、枠組みとしての第一歩を踏み出して行かないと、結局は誰からも認識されないし、承認もされない。そこから少しでも我々が安心感を持って自分の存在を徐々に承認し、他者との関わりを持って行く事が重要なのだと思う。これは、ゲイに限った事ではなく、シングルマザーだったり、他の社会的少数派に対して言える事。少しでも生きやすい世の中になれば、ゲイだって悪くはないと思えるようになるだろう。

 

(本日の一軒)
銀座 松玄
天ぷら、そば、日本酒、一品料理、個室。カジュアルながらも、雰囲気と料理の質、両方を味わえる店であり、お気に入りの銀座松玄。個室は非常に狭く、デートにお勧め。お酒の種類が多く、選ぶのが楽しい。

 

松玄 凛
03-5568-8989
東京都中央区銀座7-8-7 GINZA GREEN 4F
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130101/13005021/